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技術提案書とは


○技術提案書とは


一般的に「施工計画書」には落札後に提出する「施工計画書」と入札前に提出する「簡易な施工計画書」の2種類があります。これらを区別するため、入札前に提出する「簡易な施工計画書」を「技術提案書」と呼ぶようにします。

落札後に発注者へ提出する施工計画書は、発注者に提出した後、意向に沿わない部分があれば、施工業者へ返却し修正する等のやりとりが何回か行うことができました。




いっぽう「技術提案書」は一度提出したら結果が出るまで発注者評価はわかりません。なぜその点数になったのか説明がないまま点数のみ公表されるため、悪かった部分がどこなのか、もしくは点数が良かったとしたらどんな部分が評価されたのか詳細は分からないままとなります。

もしもコストをかける提案をしていたとして、そのときの評価が比較的良かったとします。ですが本来はコストをかけた提案ではない部分が評価されたのに、技術提案書を作成した担当者は「コストをかければ点数が上がる」と、思い込み似たような現場が出ると同じようにコストをかけた提案をしてしまう可能性があります。

このように「技術提案書」は落札後の「施工計画書」とは違い1回しか発注者への提案チャンスがないところがポイントとなります。


○落札者決定方法


落札者決定方
加算点の計算方法
総合評価落札方式における加算点の計算方法は、いちばん評価点の高かった業者へ満点の加算点20点が与えられます。他の業者は満点の業者に対して自社の点数案分で計算され加算点が与えられます。
下記の例ではA社が69点の評価点を取っていて一番良い点なのでA社は20点を与えられます。B社の加算点計算は49÷69×20点=14.202(小数点第四位切捨て)となります。

加算点計算のポイント
競争業者(コンペチター)が工事毎によって変るため、同じような工事で同じような技術提案をしても競争相手の評価次第で自社の点数が左右されるということです。
競争相手が技術提案書を対策してきた場合、自社も対抗策として内容の良い提案をしないと点数はすぐ逆転してしまいます。

業者名 A社
B社
C社
D社
E社
F社
G社
H社
(1)企業の技術力 施工計画 30 16 8 16 8 16 16 0
企業の施工能力 17 17 12 10 6 9 12 8
配置予定技術者の能力 19 14 10 10 10 10 10 5
地理的条件 3 2 3 3 2 2 3 0
(2)企業の信頼性・社会性 地域精通度 - - - - - - - -
地域貢献度 - - - - - - - -
評価点 69 49 33 39 26 37 41 13
加算点(評価点/最高評価点(69)×20点) 20.000 14.202 9.565 11.304 7.536 10.724 11.884 3.768

○最高の評価点(69点)の業者に満点の加算点20点を与える。(1位満点方式)それ以外の提案に対しては評価ポイントの合計に応じた点数を案分して加算点とする。

○加算点は少数第3位まで表示する。(例)B社 49/69×20点=14.202・・・・よってB社の加算点表示は14.202となる。


○評価値の計算方法


評価値の計算方法は(標準点+加算点)÷入札価格(億円単位)で求められます。
下記の例ではA社の評価値は(100+20)÷2.15=55.813(小数点第四位切捨て)となります。
従来の価格のみの入札ならE社の落札ですが、評価値でA社が上回ったためA社の落札となります。これが一般的に言う逆転落札です。



番号 業者名 価格順位 入札価格 加算点 標準点+加算点 評価順位 評価値 備考
1 A社 2 215,000 20.000 120.000 1 55.813 落札
2 B社 4 230,000 11.884 111.884 3 48.645  
3 C社 3 228,000 14.202 114.202 4 48.054  
4 D社 5 235,500 11.304 111.304 5 47.262  
5 E社 1 208,000 7.536 107.536 2 51.700  
6 F社 7 254,000 - - - - 予定価格超過
7 G社 8 271,000 - - - - 予定価格超過
8 H社 6 240,000 3.768 103.768 6 43.236  

予定価格 242,000千円



評価値の一番高い、A社が落札者となる

(加算点が高い者が最低価格者を逆転落札した例)


○総合評価落札方式のポイント


これまでの入札は価格のみの勝負でしたが、総合評価落札方式になってからは「価格」と「技術」の両方をうまくコントロールしなければ落札することは難しくなります。
ですがこのような競争方法は既に公共建設工事業界以外では一般的な競争方式です。

自社内でのコストに対する創意工夫を行い、成果物に対するプロセスと、品質における創意工夫を顧客に評価してもらい仕事を受注するのは一般的な商売における自由競争なのです。公共建設工事業界にその方法がルールとして採用されたにすぎないと考えればよいでしょう。






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