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現場実況中継/平板載荷試験 出てくれ8トン



2000年7月21日

■まずはセッティング




 今朝は、朝5時30分に目がさめた。平板載荷試験のことが気になってか、もう眠れない。
 事務所で9時にメールをチェックすると、現場担当の大森さんからメールがとどいている「準備が出来次第荷重を掛けてもよろしいでしょうか?」、「了解しました」と返信したが、気になってしまい、すぐに現場へ直行した。現場は、歩いて10分の所にある。「大森さん、メールできるようになったんだ」
 現場では、パワーショベルが動いていた。大森さん「メール届きました?」「届いたよ、それ読んできた」。2m×4mの穴が掘ってあり、その上に、2m×4mぐらいの大きさの木製の板で組んだ箱がセットしてあり、土をいれている。試験のために上から荷重をかけるのに使うのだ。今回は木製の箱に土を入れて荷重にしたが、パワーショベル自体が、荷重の代わりになることもある。その時は、ちょうど、パワーショベルが和式の便器にまたがった感じで、試験が行われる。
 箱のセットが終わると、今度は、穴の底で試験のセッティングが始まった。底面をシャベルですき取り、上部の箱の底の中心から「下げ降り」をおろし、位置を決める。その位置を中心に小さなスコップで、50cm四方の土を、レベル定規を当てながら、丁寧にすき取って行く。
 丸い平板を置く。大きさは直径が30cm、厚さ25mm、鉄製の丈夫な円盤である。平板の水平を確認すると、いったん平板を外し、砂をまく。再び平板をセットし、何度も水平を確認する。その上に測定器具を置いて、さらに2mぐらいのパイプを載せて、上部の木製の箱の底面にあてがう。
 計測器に手動ポンプで圧力をかけると、パイプが上にせり上がり、だんだん荷重がかかって行く。「何トンで設定しますか?」と聞かれたが。質問の意味が善くわからなかった。「10トンでればいいが、2割の余裕を見て12トンが確認できるとありがたい」と答えた。



試験装置を設置したところ


■平板載荷試験スタート




 測定が始まったのは、10時30分だ。試験が始まると、後はひたすら時間が経過するのを待つだけ。測定は、若い方が行い、職長さんは、手持ちぶたさのよう。
 平板載荷試験は何度も行っているが、このように、現場にいて、一部始終を立ち会うのは始めてだ。だいたいの場合、試験が終わった後、現場担当者から電話で「試験、終わりました、地耐力でましたので、問題ありません」という報告が上がってきて、「分かりました」が通常のパターンである。
 本来は、試験の具体的な方法を知っているべきだが、正直なところ、知らなかった。試験が始まってから、話し好きの職長さんに、検査の進め方を詳しく説明してもらった。
 試験は、設定荷重を8分割し、8段階に分けてだんだんに荷重をかけていく。今回は、12トンを8分割することになるので、1.5トンに相当する荷重を8段階に分けてかけていくことになる。
 1.5トンに相当するという意味は、平板の大きさは、直径30cmで0.07uなので、その面積に応じた、少ない荷重を掛けるという意味である。むかしは平板の大きさが1m×1mであったということだが、たとえば、30トン/uの試験を行う時、30トンの重さのものを準備しなければならないので、準備が大変なので、徐々に平板の大きさが小さくなり、1990年ごろに現在の大きさになったということだ。
 最初の1段階目で、1.5トンに相当する荷重を30分間掛け続け、沈下量を測定する。この30分の間、最初の2分で測定し、さらに3分後に測定、次は5分おきに測定を行う。30分経つと、第2段階に移る。次の荷重、つまり1.5+1.5=3.0トンに相当する荷重をかけるのだ。
 しかし、である、沈下量が、50mmを超えると、その時点で試験は終了となるというのだ。なにっ? ということは、「第6段階で、9トンの荷重をかけて、沈下量が50mmを超えたら、どうなるの?」「その前の段階の7.5トンが地耐力ということになります」
 「それじゃぁ設定を12トンではなく、10トンにすれば良かったんじゃないの?」自分の未熟さも悔しいが、もう少し説明をしてほしかった。しかし、いまさら設定を変えるわけにも行かない。「設定荷重を10トンにしたときは、どうなっていただろうか?」「12トンで設定して試験結果が7.5トンであっても、もしかすると、9トンでるかもしれません」


■9トンがでた




 食事を済ませ、また現場にもどると、なにやら、がたがたやっている。パイプがずれてしまったようだ。セットし直している。いいんだろうか?
 試験は第6段階に入った、荷重は9トンに増やされた。もし、沈下量が50mmを超えたら測定は終了。地耐力は7.5トンということになる。時間の経過が長かった。職長さんは、電卓のキーをタカタカを押して何やら計算をしている。試験の予測がでた。「9トンは、行きますね」
 それから30分、待ちに待って、第6段階が終了した。予測通り、9トンがでた。
 構造担当の荒波さんに電話で連絡「9トンでました」「善かったですね、2割の余裕をみるようにという指導をするところもあるので、一応確認してください」「エッ!何それ?」。建築指導課の構造担当者に急いで電話「2割の余裕いりますか?」「必要ありません」ふうううっ、助かった。