朝9時20分に現場に到着すると、試験掘りが始まっていた。2mぐらい掘り進んでい。関東ローム層なので、穴は豆腐を切ったようにまっすぐ掘れている。今日は、実質工事のスタートということもあって、営業の伊藤さんと現場担当の大森さん、現場所長の野口さんと3人が揃っている。
2mの段階では、「れき層」はまだでていない。「それじゃあ、もう少し掘って!」とパワーショベルの運転手に指示の声。パワーショベルがうなりをあげてショベルを穴の中にいれる。旨いもんだ、穴にピッタリショベルを入れて行く。地鎮祭の準備で、木の杭を打ち込んでも、堅くてなかなか入らなかったが、パワーショベルはいとも簡単に40cmぐらいの土をすくい取る。
「でませんねぇ、深さを測って。」と工事所長の野口さん、大森さんが測量器を覗き込んで「2,400」です。建築技術者は、2メーター40センチのことを「2400」と表現することが多い。2600が基礎の底なので、そろそろ、れき層がでてくれるといいのだが。
「それじゃあ、手で少し掘ってみましょう」と今度は伊藤さん。実はこの伊藤さん、今は営業担当なのですが、かつて現場を経験したこともある、れっきとした一級建築士。指示を出さずにはいられないらしい。
職人さんが穴にショベルを投げ込み、パイプで簡易ハシゴを作って、スルスルと穴に下りて行く。下に降りる時くずれた土を掃って、スコップをよいしょっと突きさしている。手で掘るとこんなもんなんだという程度しか突きささらない。
「堅いです」と職人さん。れき層がでていないものの、その一言に内心ひと安堵。というのも、関東ローム層で堅い場合、地耐力は10トン/uでてもおかしくないからだ。
30cm程度掘ったところで、「れきは、なさそうですね。」、「じゃあ、上がってきて」
|
パワーショベルが掘っているのを、かたずをのんで見ている。 |