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現場実況中継/試験堀り れき層はでるのか



2000年7月19日

■予定の深さは2m60cm






 朝9時20分に現場に到着すると、試験掘りが始まっていた。2mぐらい掘り進んでい。関東ローム層なので、穴は豆腐を切ったようにまっすぐ掘れている。今日は、実質工事のスタートということもあって、営業の伊藤さんと現場担当の大森さん、現場所長の野口さんと3人が揃っている。
 2mの段階では、「れき層」はまだでていない。「それじゃあ、もう少し掘って!」とパワーショベルの運転手に指示の声。パワーショベルがうなりをあげてショベルを穴の中にいれる。旨いもんだ、穴にピッタリショベルを入れて行く。地鎮祭の準備で、木の杭を打ち込んでも、堅くてなかなか入らなかったが、パワーショベルはいとも簡単に40cmぐらいの土をすくい取る。
 「でませんねぇ、深さを測って。」と工事所長の野口さん、大森さんが測量器を覗き込んで「2,400」です。建築技術者は、2メーター40センチのことを「2400」と表現することが多い。2600が基礎の底なので、そろそろ、れき層がでてくれるといいのだが。
 「それじゃあ、手で少し掘ってみましょう」と今度は伊藤さん。実はこの伊藤さん、今は営業担当なのですが、かつて現場を経験したこともある、れっきとした一級建築士。指示を出さずにはいられないらしい。
 職人さんが穴にショベルを投げ込み、パイプで簡易ハシゴを作って、スルスルと穴に下りて行く。下に降りる時くずれた土を掃って、スコップをよいしょっと突きさしている。手で掘るとこんなもんなんだという程度しか突きささらない。
 「堅いです」と職人さん。れき層がでていないものの、その一言に内心ひと安堵。というのも、関東ローム層で堅い場合、地耐力は10トン/uでてもおかしくないからだ。
 30cm程度掘ったところで、「れきは、なさそうですね。」、「じゃあ、上がってきて」

パワーショベルが掘っているのを、かたずをのんで見ている。


職人さんが穴に入り、ショベルで掘っているところ

3m40cm掘ったが、りれき層はでなかった


■さらに掘ってみる




 2m60cmでれき層は出なかった。これより深いところに「れき層」はかならずあることはわかっているが、どの程度の深さででるかはわからない。
 「どうしましょうか」と伊藤さん。現状より深く掘るということは、建物の基礎が載る地盤を荒らすことになるが方針は決まっていた。「さらに、少しずつ掘ってみてください。」
 「10cmぐらいすくってみて」運転手に指示がでる。パワーショベルがまたうなり声をあげて動き出す。うまいもんだ、ほんとに10cmぐらいすくっている。だが、れきはでない。
 少し掘っては、深さの測量を行い、また、掘ってと。しかし、れきは出ない。パワーショベルの運転席からは、穴の中が見えないようで、運転手は立ちあがったままでレバーを操作している。
 3m付近で土の色が黄色が帯びた粘土質に代わった。ショベルのブームも、もうすぐ深さの限界といったところ。「めいっぱいまで掘ってみて」パワーショベルが、ぐぃーん、と下がっていく。土を掘り上げて「これで限界です」と運転手さん。深さを測ってみると3m40cm。やはりれき層はでなかった。
 近隣のデータによれば、れき層は3m60cmででているが、少し離れているので、50cmぐらいの差は十分考えられる。さらに掘って、れき層がでたとしても、基礎のレベルが2m60cmであるため、なんの意味も持たない。気まずい雰囲気が流れるなか、次の方針は決まっていた。「平板載荷試験を行いましょう」。
 現場担当の大森さんが、地質調査の会社に電話を入れ、2日後の21日に平板載荷試験を行うことになった。